三叉神経電気刺激による体性感覚誘発電位について : 三叉神経麻痺の定量化

概要

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今回われわれは,口腔外科手術により生じた三叉神経麻痔の客観的定量化を図るため,電気刺激による体性感覚誘発電位(SEP)の記録を施行した。被験者は,下顎後退術(Obwegeser Dal pont法)の手術後にオトガイ神経領域の三叉神経麻痺が出現した男性患者である。本研究は,SEPを用いて健常側(右側)と麻痺を呈した患側(左側)の双方の相違を検討した。これより以下のような結論が得られた。1)健常側のSEPにおいて,刺激後1msecから50msecまでの間に,N1,P1,N2,P2,N3の5相性の波形成分がみられた。2)電気刺激により,健常側と患側の双方に認められたSEPのN1とP1成分は頂点潜時,振幅ともにほぼ同様の数値を示した。これらの電気的発生起源は口輪筋由来であると考えられた。3)患側において,刺激後18msecから50msecにみられる高位中枢由来のSEPのN2,P2,N3成分は,抑制されていた。以上の結果より,SEP測定は他覚的な感覚障害の評価に有用性のあることが示唆された。