プロペラのフラッターの研究(其三) : 回轉薄板の振動及び音響 : プロペラ・フラッターの音響モデル
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概要
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プロペラがフラッターを起した時に發せられる特殊な強烈な音響の性質に就てはプロペラ・フラッターの研究第一報(航研報告187號)に詳しく述べた.續いて其第二報としてフラッターそれ自體の性質に關する詳細なる報告を發表した(航研報告第202號).以上の研究を遂行して居る間に薄板を回轉すると少くとも音響的にはプロペラのフラッターと同樣の現象を呈する事を發見したが,此現象は實驗的にも亦理論的にも頗る興味あるものであり,且つプロペラ・フラッターの研究に資する所尠くないものと信じ,其性質を詳しく研究した.本篇はその詳報であるが,結果の概要は既に帝國學士院紀事に發表してある.回轉薄板が或る特定の回轉數範圍に於て生ずる特殊の振動はその際發する特殊の音響を分析した結果から推定するにプロペラのフラッターと同樣に第一次,第二次等の捩り振動より成り,其音響は是れ亦實物プロペラのフラッターの音響と同樣に回轉に依る音と,振動に依る音の外に兩者の結合音より成る.而も是等三種の音響成分は夫々全然違つた方向性を有する事を巧妙なる實驗に依つて示す事を得た.此結果は實物プロペラのフラッターの音から振動に依る音響成分を摘出し振動樣式を推定するに有力なる指針を與へるものと信ずる.猶光學的方法に依り回轉薄板に於ける捩り振動の大さを測定し,又大氣の壓力を種々變化して此特殊振動の發生に對する空氣力學的要素の影響をも測定した.終りに附録として薄板の極めて高い回轉數を精密に測定する電氣的方法が述べてある.
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