JOUKOWSKI對稱翼型の周りの壓縮性流體の流れに就いて
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概要
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JOUKOWSKI對稱翼型の周りに於ける壓縮性流體の二次元的な非廻轉運動は,既にPOGGI及びKAPLANによつて研究されてゐて,特にKAPLANの研究は相當詳しいが,然し更に研究すべき色々な問題が殘つてゐる樣に考へられる.實際,KAPLANは,厚み比-ここでは翼型の最大の厚さの翼弦に對する比で定義する-が實用的な或特別な値を採る樣な二つのJOUKOWSKI對稱翼型が共に夫々迎角0°で氣流の中に置かれてゐる場合に於ける所謂臨界MACH數を計算したり,又翼型の揚力やモーメントに對する空氣の壓縮性の影響を論じたりしてゐるが,或特定の厚み比を持つJOUKOWSKI對稱翼型を0°以外の任意迎角で氣流中に置く場合に臨界MACH數が如何なる値を採るか,又迎角が或與へられた値を採る場合臨界MACH數が翼型の厚み比と共に如何に變るかといふ樣な問題を詳しく吟味することは,理論的に興味あるばかりでなく,實驗的立場からもかなり重要である樣に思はれる.しかも,KAPLANの解析には多少疑點があり,從つて彼の結果は多少間違つてゐる樣に考へられるので,これを是正することも望ましい.そこで,著者等は,JOUKOWSKI對稱翼型の周りに於ける壓縮性流體の流れをもう一度詳細に研究したのであるが,此等の研究結果に就いて述べるのが本論文の目的である.著者等の採用した方法は,KAPLANの論文に於ける樣に,POGGIの方法で,別に新しくはないが,KAPLANの論文に於けるよりもかなり事柄を一般的に取扱つてゐる.即ち,KAPLANは主としてJOUKOWSKI對稱翼型の表面上の事柄に着目してゐるが,著者等は先づ任意點に於ける速度ポテンシァルを求め,然る後に翼型の表面に於ける事柄を論じた.吾々は,解析の途中に於いて,KAPLANの計算に於ける色々な間違を指摘した.そして,結局,流體の壓縮性に基因する速度の補正の翼型表面上に於ける値に對してKAPLANが得てゐる式は少々間違つてゐることを指摘した.從つて,KAPLANの算出した數値はすべて多少あやしいものであることを斷言することが出來る.本論文の第一の目的は,詳しい數値計算を遂行して,迎角が0°以外の値を採る場合に於ける臨界MACH數を種々の厚み比のJOUKOWSKI對稱翼型に就いて算出することであつて,著者等は迎角の値として實用的にも重要と思はれる2°,5°及び10°なる三つの値を採用したが,尚ほ,迎角0°の場合の臨界MACH數ももう一度計算し直してみた.計算の結果は第7圖に示してあるが,これから知れるところの最も興味あることは,迎角が0°以外の或與へられた値を採る時,或適當な厚み比に對して臨界MACH數が極大になるといふことであると思はれる.例へば,迎角2°の場合には厚み比が大凡0.09のJOUKOWSKI對稱翼型に對する臨界MACH數が他の如何なる厚み比の對稱翼型に對するものよりも大きく,又迎角5°の場合には厚み比が大凡0.17の翼型に對する臨界MACH數が極大である.斯樣な點はかなり興味深く且つ重要なのではないかと思ふ.著者等は此等に關する實驗的研究の遂行されんことを切望するものである.著者等は更にJOUKOWSKI對稱翼型に働らく揚力を計算し,流體の壓縮性が揚力に對して如何なる影響を及ぼすかを調べた.著者等は二つの特別なJOUKOWSKI對稱翼型を例に採り,詳しい數値計算を遂行して,迎角が5°,10°及び15°である三つの場合に,揚力がMACH數と共に如何に變るかを調べた.その結果は第12及び第13兩圖に示してあるが,そこではGLAUERT-PRANDTLの近似理論による揚力の近似式の與へる結果との比較も行つてゐる.
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