高速機用翼型の設計に關する二三の寄與
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
翼型の抵抗を減少させるためには,表面の境界層の層流から亂流への遷移を後らせることが望ましい.これは可也困難な問題であるが,最低壓力位置を後退させることによつて,或る程度まで實現されるのではないかと思はれる.尤も最低壓力の値も低過ぎては不都合であるから,結局壓力分布は平坦に近いものとなる.これは造波失速の開始を後らせる點からも望ましいことである.この論文は,この樣な立場から,高速機用翼型の設計に關する二三の問題を取扱つたものである.即ち先づ壓力分布の一樣な中心線,換言すれば肉厚對稱翼の壓力分布の傾向を保持する樣な中心線の形式,次に壓力分布の一樣な對稱翼型の形式を,夫々理論的計算によつて導いた.最後に最低壓力位置を後退させる樣な對稱翼型を試作し,その抵抗を風洞實驗によつて測定し,實際に境界層の遷移が從來の翼型よりも後れることを示した.併しこのことが實物飛行の状態に於ても實現されるか否かを確めるために,同樣の翼型に就いて飛行實驗を行ふことが望ましく思はれる.
- 宇宙航空研究開発機構の論文
著者
関連論文
- 2-12.単一の粗さによる境界層の遷移について(応用物理,流体力学)(第11回定期講演會講演要旨)
- 境界層の遷移に及ぼす単一粗さの影響の続実験
- 2-11.非定常な層流境界層について(応用物理,流体力学)(第11回定期講演會講演要旨)
- 乱流理論の新しい進歩
- 縮まない乱流境界層の実用計算法
- 2-13.圧力上昇を伴う乱流境界層について(応用物理,流体力学)(第11回定期講演會講演要旨)
- 境界層の速度分布におよぼす曲率の影響(正誤)
- 研究報告を学会誌中心に
- 境界層の遷移に及ぼす単一粗さの影響
- 亂れの減衰に關する豫備實驗
- 翼型U.P.-0010の普通風洞に於ける實驗
- 層流境界層に於ける許容粗度に就いて
- 高速機用翼型の設計に關する二三の寄與
- 1.5m風洞に於ける平板の實驗
- 1.5m風洞に於ける壓力球の實驗
- スキー飛躍の空気力学
- 亂れの減衰に關する一寄與 : 初期亂れの影響に就いて