運動量輸送の理論の環状斷面の管に沿うて流れる渦亂流に對する應用に就いて
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
吾々は,前論文(報告第180號)に於いて,渦動度輸送の變形理論及び運動量輸送の理論を應用して,環状斷面の眞直ぐな管に沿うて流れる渦亂流に於ける平均速度の分布を計算し,その結果をMIKRJUKOVの實測結果と比較したが,その樣にして吾々の到達した結論は,環状斷面の管に沿うて流れる渦亂流の場合に於いても,圓管に沿うて流れる渦亂流の場合と同樣に,渦動度輸送の變形理論の方が運動量輸送の理論よりも實驗結果によく合ふ結果を與へるといふのであつた.ところが,最近に至つて,前論文に於ける計算のうち,運動量輸送の理論の應用に關する部分は,殘念ながら多少近似的に過ぎることが見出された.即ち,吾々は環状斷面の管に沿うての流れが恰も二次元的であるかの如く取扱つてゐたことが見出されたのである.從つて,前論文に於いて到達した結果が果してそのままでよいか或は變更を必要とするのではないかといふ樣な疑問も起つて來た.尤も,斯樣な近似的取扱ひと雖も恐らく全然誤つてゐるものではなく,MIKRJUKOVの實驗に於ける樣に,環状領域の幅がかなり狹い場合には,却つて許容されるものの樣にも思はれるけれども,運動量輸送の理論を使つて,問題をもつと妥當に且つもつと正確に取扱ふことは望ましいことである.そこで,吾々は,運動量輸送の理論を再び應用して,環状斷面の管に沿うて流れる渦亂流に於ける平均速度の分布を計算し直し,その計算の結果を,前論文に於けると同樣に,MIKRJUKOVの實測結果と比較したが,本論文はそれ等に就いて報告することをその主な目的とする.計算の結果,本論文に於いて得られた結果と前論文に於いて近似的取扱ひによつて得られた結果との間には,辨別し得る樣な差異が殆んど存在しないことが知れた.從つて,渦動度輸送の變形理論の方が運動量輸送の理論よりも實測結果によく一致する樣な結果を與へるといふ前論文に於いて到達した結論には何等の變更をも必要としない樣に思はれる.
- 宇宙航空研究開発機構の論文
宇宙航空研究開発機構 | 論文
- 大樹航空宇宙実験場における新しい大気球実験場
- M-3H TVC装置について
- M-3C TVC装置について
- 小型超音速実験機(ロケット実験機;NEXST-1)第2回飛行実験
- S520-8CN号機による乙女座銀河団の紫外線撮像観測