環状斷面の管に沿うて流れる渦亂流に於ける速度分布に就いて
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概要
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眞直ぐな圓管内を流れる渦亂流に於ける平均速度の分布は混合距離の概念を基礎とするPRANDTLの運動量輸送の理論及びTAYLORの渦動度輸送の變形理論を使つて,TAYLORが理論的に計算してゐるが,それによると,渦動度輸送の變形理論の與へる結果の方が運動量輸送の理論の與へる結果よりも,STANTON及びNIKURADSEの實驗結果によく合ふようである.圓管以外の管に沿うて流れる渦亂流に於ける平均速度の分布を,此等二つの渦亂流の理論によつて理論的に研究することは極めて興味深いことであるが,未だ如何なる場合の理論的研究も遂行されてゐない樣である.實際,矩形とか三角形とか又は梯形の斷面を有する管に沿うての渦亂流に於ける平均速度の分布に關するかなり詳しい實驗的研究は,例へばNIKURADSEによつてなされてゐるが,しかし此等の場合を理論的に研究することは殆んど不可能なのである.ところが,最近MIKRJUKOVは,二つの同心圓によつて圍まれた環状斷面を有する眞直ぐな管に沿うて流れる渦亂流に於ける平均速度の分布を,種々の異なれる壓力勾配の場合に測定した結果を發表したが,この場合は平均速度の分布が管の軸に關して對稱であるために,これを理論的に吟味することも比較的容易である.斯樣な環状斷面の管に沿うて流れる渦亂流の場合に,果して渦動度輸送の變形理論及び運動量輸送の理論の孰れが實測結果に近い理論的結果を與へるであらうか.これを吟味することは極めて興味深く且つ重要であると思はれる.本論文は,著者等が環状斷面の管に沿うて流れる渦亂流に於ける平均速度の分布を渦動度輸送の變形理論及び運動量輸送の理論によつて計算した結果を示すこと及びそれ等をMIKRJUKOVの實測結果と比較することをその目的とする.圓管の場合の樣に,環状斷面の管の場合に於いても,渦動度輸送の變形理論の方が運動量輸送の理論よりも實驗結果によく合ふ結果を與へることが知れた.
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