大学生男女における自尊感情と痩身願望の関係
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概要
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本研究では,健常な大学生男女を対象に,自尊感情と痩身願望の関係について調査を行い,また,特性不安,BMI,体重変動,主観的健康感尺度の下位尺度である心理的安定感,意欲,体調および生活行動習慣,日本語版DEBQ(短縮版)の下位尺度である抑制的摂食傾向,情動的摂食傾向,外発的摂食傾向の各変数間の関係についても同時に調査を行った。その結果,女性においてはこれまでの研究と同様に,自尊感情が低いほど痩身願望が高いという,負の相関関係がみられ,さらに男性についても同様に負の相関関係がみられた。また,自尊感情と特性不安との間に有意な相関がみられるなど,これまでの知見を支持する結果であった。男性において自尊感情と痩身願望との間に負の相関関係がみられたことは,これまでの研究とは逆の結果であった。これは,時代の変化によるものと,日本と欧米の文化の差による,理想とする体型の違いであるということが考えられる。本研究において,女性では痩身願望と抑制的摂食傾向との間に有意な相関がみられ,男性では痩身願望と食行動傾向との間に有意な相関はみられなかった。このことは,男性と女性ではダイエット行動に違いがあるということを示唆している。すなわち,女性はダイエットをするとき食事の摂取量を抑制するという方法をとるが,男性は例えば運動をするなど,別の方法をとるということが考えられる。また,女性において体重の変動と痩身願望や食行動傾向などとの間に相関関係はみられなかった。女性の体重や体型に対する関心は非常に高いものであると考えられるので,この結果は矛盾したものであると考えられる。この点については更なる研究が必要である。本研究では被調査者の数が男性21名,女性66名と少なかったので,男女間の直接的な比較は困難であると判断した。また,得られたデータの信頼性,安定性という点についても問題がある。今後は,より多くのサンプルを集め,男女間の直接的な比較を行い,さらに自尊感情と痩身願望との因果関係を明らかにすることが必要であろう。
- 広島修道大学の論文
- 2004-09-30
著者
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