固体推進剤の浸蝕燃焼についてのガス力学的解析
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概要
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この論文は,固体推進剤表面に平行に流れる高温燃焼生成ガスの速度が推進剤の前端からの距離に比例する場合について,固体推進剤の浸触燃焼をaerothermochemistryの境界層近似によって解析し,推進剤の燃焼速度に及ぼす高温気流の影響を調べたものである.まず反応性混合ガスに対する境界層方程式を,変数変換によって局所的相似の形に変換する.この変換された方程式群の中で,運動方程式と各ガス成分に対するgeneralized thermal enthalpyの式は,合理的な仮定のもとに近似すると,直ちに積分でき,解が求められる.よってエネルギ方程式が解かねばならない唯一の式となる.この方程式は温度について非線型2階常微分方程式である.しかし温度は境界層外側と推進剤表面において三つの境界条件をみたさなければならない.よって固有値方程式を解く必要があり,決定されなければならない唯一の量は推進剤の燃焼速度である.この解析においては,浸蝕燃焼を支配する唯一のパラメタは,推進剤表面に沿う高温ガス流の速度勾配であり,結局,この方程式を解くことによって,この速度勾配と燃焼速度との関係が求められる.解析の例題として,気相反応が1次反応の場合と2次反応の場合とについて,実際に数値計算を行なった.この結果によると,高温ガス流の速度勾配が小さくなると,固体推進剤の燃焼速度は,高温ガス流がない場合のnormalな燃焼速度に近づくこと,及び速度勾配が大きくなるにつれて,燃焼速度が増大することが確かめられ,推進剤表面に沿う高温ガス流が推進剤の燃焼速度に及ぼす影響を定量的に調べることができた.
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