社会資本の産業別生産力効果に関する計量分析 : 戦前期日本の経験
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概要
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戦前期(1886〜1937年)の長期時系列データを使用して民間非1次産業,農業を対象としたコブ=ダグラス型生産関数をそれぞれ推定し,社会資本が両産業の生産を促進した効果を検証した。その結果,戦前期の両産業において生産の社会資本弾力性の値は正の値を示しており,社会資本の生産力効果が存在することが確認された。また,推定された生産関数のパラメータを使用して,社会資本の限界生産力を推計した。その結果,農業の社会資本の限界生産力が民間非1次産業を上回ることが確認された。また,社会資本の限界生産力は両産業において,経済発展の初期局面が最も大きな値となっていることが確認された。両産業において,社会資本の限界生産力は戦前期を通じて低下するが,特に,民間非1次産業において,戦前期を通じて社会資本が急速に充足した可能性があることが,民間資本の限界生産力の大きさとの比較から確認された。さらに,労働力配分関数を推定した結果,民間非1次産業の社会資本蓄積によって,長期的に農業から民間非1次産業へと労働力移動が生じたことが確認された。
- 早稲田大学の論文
- 2004-06-15
著者
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