現代的ネットワークにもとづく流域社会の再構築の可能性 : 京都府美山町を事例として
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概要
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河川は,自然生態系や社会のいわば<コリドール(回廊)>としての役割を果すことによって,その内部に様々な<対立>を孕みながらも,それらの対立の調停過程を通して凝集性の高い<流域社会>を歴史的に形成してきた。しかし,戦後の日本では大規模ダムなどの近代的装置が河川に組み込まれるという形の<河川の近代化>が進行した。<河川の近代化>は,利水上などの対立を解消し人々に豊かさをもたらす一方で,河川に関与する多様な主体を舞台から退場させるという結果をも直接・間接にもたらした。それは,人々のモナド化を進行させ,流域社会をも崩壊させていった。田中の論稿では,河川の近代化によってもたらされた<多様性なき豊かさ>の中で静かに進行していくリスク社会化の過程において,どのような形で流域社会の再構築が可能なのかが,ナショナライゼーション論とリスク社会論の観点から論じられている。現在中央政府のイニシャティブの下でおこなわれている市町村合併は,流域社会の再構築にとって格好の機会となるはずである。しかし,市町村合併の現実の動向は,必ずしもその機会を活かしてはいない。水垣の論稿は,近畿地方の323自治体を対象として,市町村合併を規定する諸要因を計量的に明らかにしようとしたものである。
- 龍谷大学の論文
- 2004-03-25
著者
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