「ホームレス」問題と自立支援の方向性
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概要
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現在,3万人近い人々が雨露をしのぐ場所を持たずに野宿生活をしている.野宿とは,自尊心が剥奪され,生命の維持さえ危ぶまれるという生存権が著しく侵されている状態を意味する.「ホームレス」問題は,日雇労働者の集まる大阪の釜ヶ崎や東京の山谷などに問題が集中していた従来のあり方とは異なった深刻さをもって,今現れている.わが国には「健康で文化的な最低限度の生活」を保障する生活保護制度があり,また,年金・医療・雇用保険制度をはじめとする社会保険や社会福祉による防貧と救貧のシステムが制度化されている.そのため,本来ならばあり得ないはずである野宿老の存在は,個人的責任や個人的性格・嗜好に帰せられることがしばしばあり,排除や攻撃の対象にされることが多々あった.だが,近年の「ホームレス」数の急増は,個人的責任論だけでは説明がつかない.1990年代後半から各地で行われてきた聞き取引こよる実態調査の結果からは,野宿生活者が社会構造的に生み出されていること,従ってその解決は公的責任のもとで行われることが必要であることを示唆している.実態調査などから浮かび上がる野宿生活者の生活と施策の動向を概観し,「ホームレス」の人々の自立支援の方向性を探っていく.
- 2004-04-01
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