グローバル競争環境の中のわが国流通企業と経営課題
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概要
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わが国の流通企業は未だかって経験したことのないグローバル競争に晒されている。その最大のトリガーは流通市場にかかる規制緩和、つまり市場の開放の進捗であり、併せて、大手流通外資の進出でもたらされたグローバル競争環境の創出にある。日本企業はそうした環境のなかで、流通外資のグローバル・プレイヤーに如何に伍していくかが問われてきている。それは、これまで保護政策の下にあって国際競争の枠組みの埒外に置かれてきたわが国流通小売企業が、グローバル競争という新しい環境の下、如何に競争力ある企業に革新していくかということをテーマとする。もとより、そこでは乱立気味の業界にあって多くの小売企業が競争力強化の名のもとに進む企業再編の渦の中に巻き込まれていくこととなる。と同時に、外資が対日進出を図るにあたっては、日本市場の難しさから国内企業との提携或いは買収を不可避とする。つまり、わが国小売企業は、内なる要素がもたらす再編の流れと外なる要素からくる再編の流れとの重なる渦のなかで、新たな戦略対応を求めていくこととなる。そしてそれは、欧米グローバル企業のビジネスモデルを十分に学習し、彼らを超える経営システムを構築していくことにほかならない。企業の戦略とは'環境変化と競争レベルの解釈の上に成り立つ'といい、'経営者の認識以上には戦略は展開されず、またそれ以上に企業の成長はない'という。急速に進行するグローバル競争環境の本質を見極め、併せて流通の革新がわが国経済のグレードアップに資すとの視座の下、わが国流通企業として優位なビジネスモデル構築への革新対応がまさに求められている。
- 2005-09-30