日本人英語学習者の内発的/外発的動機づけにおける多様性および学習者間の違いについて
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概要
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本稿では、英語専攻と非専攻の両者を対象として, Gardner & Lambert(1972)手法による志向性(orientation)とDeci & Ryan(1985)の自己決定理論にもとづく構成概念との関係を検証した。内発的/外発的動機づけの下位尺度における内部一貫性は,英語専攻および非専攻ともに保証されたが,検証的因子分析の結果,無力感を中核とする非動機づけ的側面が削除された。しかし,内発的/外発的動機づけを同一の理論の中で捉えたDeci & Ryanの自己決定理論の連続性(continuum)は支持され, Vallerand(1997)のモデルにもとづいた先行および結果要因を中核とする基準変数との関係からも,英語専攻者と非専攻者の内発的/外発的動機づけの下位尺度における構造の違いが明らかになった。Gardner & Lambert手法による志向性との関係では,道具的志向性がDeci & Ryanの連続性を支持する結果となったが,相関関係の大きさから,非専攻者の外発的動機づけと内発的動機づけの区分の違いを明瞭に示唆していた。統合的志向性は,内発的/外発的動機づけの下位尺度のそれぞれとある程度の関係がみられ,このことはWen (1997)らが指摘する2重性(duality)を支持する結果となった。しかしながら,重回帰分析の結果(ステップワイズ法), Clement & Kruidenier (1983)の志向性とともにDeci & Ryanの構成概念である下位尺度の多くが選択され,Gardner & Lambert手法による志向性はあまり選択されなかった。本研究から得られた結果は,探索的な段階に過ぎないが,内発的(外発的)動機づけと志向性という要因を一つのモデルに収めることにより,より現実に即した形で内発的および外発的動機づけの位置と機能を把握できたものと思われる。さらに本稿では,これら構成概念の下位尺度における英語専攻・非専攻の分散分析(繰り返し要因)を実施した結果,交互作用と下位尺度における主効果が有意であり,英語専攻者の具体的な要因について考察している。
- 大阪教育大学の論文
- 2005-09-30
著者
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