高齢者の聴力レベルが知的機能に及ぼす影響について
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概要
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本研究の目的は,高齢者の感覚機能,特に末梢系の聴力レベルと知的機能について比較検討することである.対象者は,精神疾患,脳梗塞などの既往歴がなく,調査への協力が得られた高齢者32名(男性5名,女性27名)とした.平均年齢は,83.06歳(年齢範囲72〜93歳)であった.平均聴力レベル(四分法)は,標準純音聴力検査により測定し,知的機能は,WAIS-R短縮版(単語,理解,組み合わせ,積木)を用いて測定した.聴力レベル及び知的機能における加齢の影響について検討したところ,聴力レベル及び知的機能の動作性検査得点で加齢に伴う有意な低下がみられた.次に,聴力レベルと知的機能の関係について,聴力レベルが両側30dBHL未満(低群)と,40dBHL以上(高群)の2群に対象者を分類し,検討をおこなったところ,2群間で知的機能の相違は認められなかった.以上のことから,末梢聴覚系の低下は,加齢との関係は示唆されるが,知的機能の低下に影響しないものと考えられた.
- 仁愛大学の論文
- 2005-03-31
著者
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