持久性能力の指標としての過剰CO_2排出量(CO_2 excess)の有効性
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概要
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本研究の目的は,長距離走者(LDR群)と一般人(CON群)の過剰CO_2排出量(CO_2 excess)を比較するとともに,持久性能力の指標としてのCO_2 excessの有効性について検討することであった。18歳から22歳の長距離走者6名および21歳から24歳の一般成人男子4名を被験者として用い,自転車エルゴメターでの負荷漸増法による最大運動テストを実施して,その運動テストで得られたV^^.O_2max, V^^.O_2ATおよびCO_2 excessとの関係を評価した。本研究の結果は以下のように要約される。1)CO_2 excess(ml)は,LDR群2347〜4096ml,CON群2265〜3212mlの範囲にあり,同一群内においても被験者間の分散が大きいことが認められた。また両群間に有意な差はなかったが,体重当たりに換算したCO_2 excess/W (ml・kg^<-1>)は,CON群(40.3±3.54)と比較してLDR群(59.1±9.07)が有意に高い値を示した(p<0.01)。2)ΔLA(安静から運動直後1分目までのLAの増加分)にCO_2 excess/Wは影響されるので,ΔLAに対するCO_2 excess/Wの比率(CO_2 excess/W/ΔLA)にすると,LDR群(4.82〜7.63ml・kg^<-1>・mmol^<-1>)がCON群(3.45〜4.91ml・kg^<-1>・mmol^<-1>)より高値を示す傾向にはあったが,両群間に有意な差は認められなかった。3)CO_2 excess (ml)はV^^.O_2maxとは有意に相関(r=0.524, NS)しなかったが,V^^.O_2ATとは有意に相関していた(r=0.813, P<0.01)。CO_2excess/W (ml・kg^<-1>)とVO_2maxおよびV^^.O_2ATとの間にはそれぞれr=0.822(p<0.01), r=0.928(p<0.001)の高い有意の相関係数が認められた。4)以上の結果から,漸増運動時で得られたVO_2とV^^.CO_2の関係式とV^^.CO_2の実測値より算出したCO_2 excess(特に体重当たりの値)は持久性能力の指標とされているV^^.CO_2maxおよびV^^.O_2ATと密接に関連し,持久性能力を評価する上で有効となることが示唆された。
- 鹿児島国際大学の論文
- 1989-04-15
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