東紀州活性化大学の実験と実践 : 地域活性化の方法論についての一考察
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概要
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条件不利地域(過疎地域)の活性化はいかに図られるべきか、どうすれば実現可能なのかという点について、三重県南部の東紀州地域を対象として、若于の考察を試みた。東紀州では、1994年に設立された「東紀州地域活性化事業推進協議会」が主体となって、「東紀州活性化大学」といういわゆる人材育成事業が10年間行われてきた。 10年にわたり、地元の若年層が自発的にこうした事業に多数参加してきたこと自体が注目すべきことであり、さらに「東紀州活性化大学」における熱心な活動と、その後の修了生たちの活発な活動もまた特筆すべきものである。本報告では、この「東紀州活性化大学」の10年間の活動記録と成果をまとめると共に、修了生たちの活動経過についても整理して提示した。結局のところ、この「東紀州活性化大学」は、受講生の情熱・積極性とカリキュラム編成の巧みさなどが作用して、生き生きとした人材育成を実現できた好例といえる。この場合は、市町村を越えて、異業種(職業)間の人材ネットワークが形成されたために、大きな成果をもたらすことができた。地域の活性化において、多様で個性的な人間同士の出会いがあり、ネットワークが作られることは、具体的なアクションを生み出す基本となるものである。そうした一連のプロセスを東紀州の実験的試みから読みとることができる。
- 2005-03-31