制度化と制度改革のゲーム論的分析
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
根本的な社会的制度改革が短期的意識的に可能なのか,という問いに答えるには,まず,そもそも制度とは何か,制度は何故,どのように存在することになったのか,ということを明らかにしなければならない。本稿では制度変化のゲーム理論的分析を,「ゲームの均衡」として制度の長期的な形成・変化を理解する進化ゲーム的アプローチと,意識的短期的に設計・改変可能な「ゲームのルール」として制度を捉えるアプローチに分け,最新の研究成果を検討・整理した。制度を「ゲームのルール」として考えると,制度改革は所与の目的達成のためのメカニズム・デザインという技術的問題であるが,制度構築・改革には動機が必要であり,動機の背景にあるのは,進化ゲームの均衡としての慣習や社会的価値観であると考えられる。均衡へ至る過程では,プレーヤの視点から見ると学習というメカニズムが働いている。しかし新制度成立,既存制度改革という過程はゲーム構造そのものを変えるものであるため,従来とは異なる発想が求められる。プレーヤの集合,戦略集合,利得の固定性という従来の仮定を捨てた,現在進行中の新たなモデル開発が,未解決の課題はあるものの,妥当な研究方向であろう。
- 北海道大学の論文
- 2001-06-12
著者
関連論文
- ネットワークの科学とネットワーク形成ゲーム (小野浩教授記念号)
- 平等主義の進化的起源と規範形成のゲーム・モデル
- ニューロサイエンスと経済学モデル
- 献辞
- 献辞
- 倫理的規範形成のゲーム論的分析 (経済学部50周年記念号)
- 制度化と制度改革のゲーム論的分析
- 制度改革と政治的意思決定過程のゲーム論的分析
- 有権者の意向は何故反映されないのか?--ゲーム理論的分析
- 限定合理的ゲームの政策決定過程モデルへの応用可能性
- 限定合理性のゲーム理論と集合的意志決定