特発性拡張型心筋症における心電図所見からみた予後に関する検討
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概要
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特発性拡張型心筋症は原因不明の難治性疾患である.近年,従来の薬物療法,心臓移植に加えて,両心室ペーシングによる再同期化治療が選択肢に加わった.この両心室ペーシングの適応としては,心電図QRS幅150msec.以上の症例が想定されているが,それらの症例の臨床像や特発性拡張型心筋症全体に占める頻度は,十分に検討されたとは言えない.今回,155例の特発性拡張型心筋症の症例について,初診時および心不全治療後の安定期の心電図におけるQRS幅の測定を行い,両心室ペーシングの適応となり得るQRS幅150msec.以上の症例の頻度,臨床像についての検討をおこなった.従来の報告があるQRS幅120msec.以上の症例についても同様に検討した.安定期にQRS幅150msec.以上の症例は,全体の9.7%,15例存在し,これらの症例ではQRS幅150msec.未満の群と比較して心機能が有意に低下し,予後も不良であった.QRS幅120msec.以上と120msec.未満の2群の比較でも,QRS幅120msec.以上の群では,同様に心機能,予後が不良であった.また,初診時よりも安定期の心電図QRS幅のほうが,心機能や予後をより正確に反映しているものと考えられた.特発性拡張型心筋症における両心室ペーシングの対象は約10%と想定されるが,適応の決定には個々の症例について血行動態の検討が必要と考えられた.
- 新潟大学の論文
- 2003-08-10
著者
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