奥羽大学歯学部附属病院における過去5年間の矯正歯科患者の統計学的観察
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概要
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本研究の目的は,当科における最近の矯正歯科患者の動向および初期治療として選択された治療装置の傾向を明らかにすることにあった.調査期間は1998年10月から2003年9月までの5年間とし,奥羽大学歯学部附属病院矯正歯科において治療を開始した患者761名を対象とした.結果は,以下の通りであった.1.地理的分布では,患者総数の56.7%が郡山市の位置する県中からの来科であった.2.学童期におけるピーク時年齢は,9歳であった.3.年齢別に未成年と20代以上(19歳を含む)の割合を比較すると1対0.37で,学童期の患者が最も多いものの,成人では20代以上(19歳を含む)と30代の女性が多かった.4.不正咬合別分布では,前歯部叢生が最も多く,ついで反対咬合,上顎前突の順で,これら三つの不正咬合で66.1%を占めていた.5.アングル分類では,III級が最も多く,ついでI級,II級1類,II級2類の順であった.6.第1期治療では,何らかの装置が装着されており,とくに機能的矯正装置が45%で使用されていた.7.第2期治療における使用装置では,プリアジャステッドアプライアンスが88.2%を占めた.8.マルチブラケット装置への付加装置は,47.6%で選択されていた.患者の動向では,より判定の容易な反対咬合から前歯部叢生が最も多くなり,20代,30代の女性患者の増加といった変化がみられた.初期治療として選択された装置は,第1期で機能的矯正装置や側方拡大装置,第2期でプリアジャステッドアプライアンスが選択されていたことは,矯正歯科治療に対する患者の意識の向上に対応できるように,当科においては積極的な早期治療の実施や患者にとってより快適で効率的な装置を選択していることが明らかとなった.
- 日本矯正歯科学会の論文
著者
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氷室 利彦
奥羽大学歯学部成長発育歯学講座歯科矯正学分野
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氷室 利彦
奥羽大学 歯学部 歯科矯正学講座
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氷室 利彦
奥羽大学歯学部
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黒田 栄子
奥羽大学歯学部附属病院
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福井 和徳
奥羽大学歯学部成長発育歯学講座歯科矯正学分野
-
廣瀬 将邦
奥羽大・歯・顎顔面口腔矯正学
-
福井 和徳
奥羽大学歯学部成長発育歯学講座
-
廣瀬 将邦
奥羽大学歯学部成長発育歯学講座歯科矯正学分野
-
中村 真治
奥羽大学歯学部成長発育歯学講座歯科矯正学分野
-
中村 真治
奥羽大・歯・成長発育歯
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氷室 利彦
奥羽大 歯 成長発育歯学 歯科矯正学分野
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