モンド瓦斯工業に就て(大正十二年五月八日燃料協會第十一囘例會講演)
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概要
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動力用新燃料として勃興し鐵道院六郷川に、三井鑛山田川及三池に、滿鐵撫順に工場設立を見たるモンド瓦斯工業は其後十年萎靡として振はず將に廢滅せんとしたる形勢なりしに、今や時代は逆轉し木材防腐用クレオソート油の需用激増して供給之に伴はず、硫酸安母尼亞市況亦良好なるあり加之技術的には低温乾餾設備を併用しタール増産を計り、發生爐の構造を改良して蒸氣使用量を減ず、往年のモンド瓦斯工業は茲に舊衣を捨て新装を凝らして起つの觀あり、動力用として燃料用として當業者の一顧二顧を促す。熱効率、硫酸安母尼亞及タール採取率の向上研究は學術上興味多し、動力用として水電と戰つて勝算ありや、燃料用としては普通發生爐瓦斯あり骸炭爐瓦斯あり熔鑛爐瓦斯あり新にターリー式瓦斯を加ふ、之等と比較してモンド瓦斯の價値如何は經濟上興趣深き問題なりとす、我三井鑛山會社はモンド瓦斯發生爐田川に十二基、三池に三基を有し一ヶ年石炭消費能力十一萬噸を算す。拮据經營茲に年あり其成績を披瀝して今後モンド瓦斯工業が石炭乾餾界の一雄者たるを斷定せんとす。燃料協會からの御依頼がありまして會社の方から私に行つて講演をせよとの事で只今から暫時モンド瓦斯のことに就てお話致します。
- 1923-06-20