酸性硫酸塩土壌における土壌酸性化の機構
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概要
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世界的な問題土壌の一つである酸性硫酸塩土壌は,パイライト(黄鉄鉱, FeS^2)を多く含み,これが酸化されて硫酸が生成され,最終的にはpH3以下の強酸性土壌となる.この土壌は農地が必要な世界の各地域に広く分布しており,土壌改良法や土壌分布調査法等の改善が求められている.国内においても,古くは干拓地土壌の農地利用,近年では内陸他の大規模開発による法面被覆植物の生育不良等で問題となってきた.低湿地や沿岸域で生成・堆積するこの土壌は,嫌気的条件下から好気的条件下に置かれることでパイライトの酸化が始まるが,土壌水分状態によってその程度が大きく異なる.パイライトの酸化には,微生物的酸化と純化学的酸化がともに作用しており,土壌水分状態は微生物的酸化に影響を与える.土壌は乾燥により間隙の質や量,保水性を変化させ,塑性眼界付近の土壌水分状態では,微生物的酸化を促進する.本報では,酸性硫酸塩土壌の酸性化機構について概説し,土壌の酸性化に関与する微生物と土壌水分条件との関係を解説した.
- 中部大学の論文
- 2004-03-31
著者
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