ストーリー形成の技法としての内観療法 : 集中内観の体験的研究を通した一考察
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概要
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本研究の目的は、一般的な心理療法の文脈の中で内観療法の治療的要因について検討し、内観療法の心理療法としての特徴を明らかにすることにある。そのために、まず、内観療法の治療的要因について、先行研究を参照しつつ、筆者の集中内観の体験を通して検討した。とりあげた治療的要因は、内観療法の治療構造、面接者の存在、内観三項目、注意の集中などである。次に、内観療法を「劇」として見る観点を提出し、ストーリー形成のための技法として内観療法をとらえる試みを行なった。内観療法は、劇的な仮想空間で内観三項目に沿って自己を振り返ることによってリフレーミングが短期間のうちに行なわれ、「他者としての自己」の発見にもとづく新しいストーリーが形成される点に特徴があると考えられた。最後に、宗数的性格に関する学問的な位置づけが不明確なことなど、内観療法について今後検討すべき課題を指摘した。