高知県の前期白亜紀の植物化石
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概要
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高知県の前期白亜紀植物化石は,NATHORST (1890) の最初の記載以来古くから知られ, いわゆる″領石植物群″として一括され, Walden型の植物群に比較されてきた。平田は, 約40年の長期間にわたり, 高知県の下部白亜系の層位学的研究ならびに, 植物化石の採集に努めた結果, 植物化石は, 領石層, 下部物部川層および上部物川層にわたる, 下部白亜系下部から上部にまで産出することを確認し, その概要を, 化石の日録と図集(その1)(1972) として発表した。植物化石については, 今後近代的な古植物学的研究が必要であるが, ここでは平田 (1972) による高知県の下部白亜系の植物化石の層位的分布を検討した結果, 領石層および下部物部川層の植物群間の構成にはほとんど差を認めることができないが, これらと上部物部川層の植物群との間には若干の構成上の差が認められる。いずれにしても, これらの植物群は, マトニア科のシダ, 小型の小羽片をつける所属不明のシダ, Zamiophyllum, Ptilophyllum ex gr. pecten および Nilssonia schaumburgensis などのソテツ葉類が普遍的かつ優勢であること, イチョウ目および広葉球果目に属する属種はきわめてまれか, または存在しないことで特徴づけられる。以上の植物群とそれぞれ構成が異なる同時期の植物群には, 手取累層群の尾口, 赤岩, 田茂谷植物群がある。この論文では, これら植物群の比較に重点をおいて, 木村が提唱した, 後期ジュラ紀から前期白亜紀にわたる, 日本の外帯植物地理区と内帯植物地理区に関する論証を行ない, かつ, 高知県の下部白亜系から得られた数種についての記載を行なった。
- 1975-12-20
著者
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