愛知県中宇利鉱山産ヒーズルウッド鉱およびコバルトペントランド鉱

概要

論文の詳細を見る
愛知県新城市中宇利鉱山ならびに瓶割峠から産出する, ヒーズルウッド鉱, コバルトペントランド鉱および六方晶系ニッケル含水炭酸塩鉱物を記載した。これらは, 橄欖岩・輝岩・角閃石岩・斑糲岩などの超塩基性ないし塩基性火成岩類よりなる複合岩体のうち, 特に蛇紋岩化した橄欖岩中に産する。ヒーズルウッド鉱とコバルトペントランド鉱は常に密接に伴なって産し, 最大径2cmの小塊あるいは細脈として, 磁鉄鉱やデュルレ鉱, 少量の輝銅鉱などと共存する。ヒーズルウッド鉱とコバルトペントランド鉱の成因は, 両者の鏡下における組織からみて, 次のように考えられる。すなわち, 初生の含コバルト=ペントランド鉱固溶体が, 生成后ある種の脱硫黄反応により, ヒーズルウッド鉱で交代され, その結果, 相対的にコバルトおよび鉄が, 残りのペントランド鉱に濃集し, Co>Fe, Ni(モル比)のコバルトペントランド鉱となったものと解釈される。六方晶系含水ニッケル炭酸塩鉱物は, パイロオーロ石系鉱物もしくはジャンボー石に類似した種で, ニッケル鉱物を含む蛇紋岩のわれ目に沿うて二次的に生成したものである。