ドイツ給付障害法における費用賠償制度の概観 : 契約利益賠償論の再構築を見据えて
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概要
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日用品の購入から企業間の取引に至るまで、我々の生活は多種多様な契約に溢れている。多少大きな契約になれば、当事者がその契約に関連して何らかの「費用」を投じることは稀ではない。しかし、そのような「費用」は、相手方の適切な行為に価値的基礎を置くものであるため、相手方に契約違反があれば多くの場合、無駄なものとなってしまう。このとき、債権者としては、相手方に対して無駄になった費用の賠償を請求したいと考えるのが当然であろう。だが、不履行と損害との因果関係という側面から考えたとき、そうした費用は不履行の有無にかかわらず支出されていたものであるため、その要請を満たすことはできないのである。契約違反によって無駄になった費用は損害賠償の対象とはなりえないのであろうか。従来から、判例や学説は、債務不履行に基づく損害概念について、履行利益・信頼利益の区分論(契約利益賠償論)に拠って立っており、契約交渉の不当破棄など契約不成立の場合については、「契約締結上の過失」の理論を経由した信頼利益賠償の問題として活発な論争を繰り広げてきた。しかし、有効に成立した契約の不履行に基づいて債権者の費用支出が挫折した際の損害賠償に関する理論的障害については、学説もほとんど目を向けてこなかった。本稿は、近年の債務法現代化に伴い費用賠償に関する明文規定として新BGB二八四条を制定したドイツとの比較法的観点から、そうした無駄になった費用の賠償(挫折費用の賠償)が本来的に孕む損害賠償法上の問題と契約利益賠償論との関係について論じたものである。
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