資産市場の出来高と価格変化の分析 : 最近の展望(田村茂教授退任記念号)
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概要
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資産市場における出来高と価格変化をめぐる最近の研究の展望を行なう。すでにこの分野ではKarpoff(1987)の展望論文があるため,本論ではそれ以降の発展を中心に紹介する。まずはじめに,なぜ資産の取引が生じるかについての考え方をまとめる。ここではMilgrom and Stokey (1982)の"No-Trade Theorem"を解説し,取引きが発生するためには投資家の意見のちがいが必要であることを示す。また,私的情報による取引きについてのべたのち,私的情報の価格への「集計化」問題とノイズの必要性を示す。ついで,出来高と価格変化にかんする経験的事実をまとめる。理論分析の展望は,ノイズのある合理的期待理論を中心に行なう。とりわけ出来高に関する最近の多期間分析と,それに関連した出来高と価格の時系列的性質に着目する。また市場のミクロ構造分析についてもふれる。さいごに,今後の研究課題をのべる。
- 慶應義塾大学の論文
- 1994-04-25