硫黄-石灰石粉混合造粒物を用いた畑地暗渠排水の脱窒処理
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
固体硫黄を用いた独立栄養脱窒(SLAD)法の問題点を改善した新しい脱窒資材である硫黄-石灰石粉混合造粒物(SC11)について脱窒温度特性の測定と畑地暗渠排水における現地脱窒実験を行い,次の結果を得た。1)SC11を用いた脱窒反応の温度特性では,15℃以上で脱窒が確認された。しかし20℃以下での脱窒能力の低下は著しく,実用には20℃以上が望ましい。2)SC11(2〜50mm)を用いた暗渠排水脱窒実験では,硝酸性窒素の平均濃度75mg/lに対し,1日資材重量当たり2倍量(v/w)以下の流速,または1日資材1kg量当たり160mg以下の硝酸性窒素負荷量では99%以上の除去率が得られ,処理水中に亜硝酸性窒素は認められなかった。3)1日資材重量当たり2倍量以上の流速では,不完全な脱窒により処理水中に亜硝酸性窒素が残存した。このときの脱窒速度は,流速にかかわらずほぼ一定の値を示し,生成する硫酸の総量も一定であった。したがって流速を増すほど除去率は低下した。このことから硫黄を用いた脱窒処理は最適な流速の制御が重要であることが示された。4)処理水のpHはほぼ7.0±0.5の範囲に保たれ,生成する硫酸濃度に関係なく優れた中和応答を持続した。
- 2001-06-20
著者
関連論文
- パーライトに硫黄・炭酸カルシウム・水酸化マグネシウム混合物をコーテイングした資材による脱窒及びリン除去の特性
- 循環型社会の形成へ向けて
- 硫黄-石灰石粉混合造粒物を用いた畑地暗渠排水の脱窒処理
- 16 硫黄石灰石独立栄養脱窒法におけるリンと銅の共存効果(関東支部講演会)
- 硫黄酸化菌を利用したイチゴ高設栽培排液の硝酸除去
- 39 固体硫黄資材を用いた独立栄養脱窒処理における土壌混入の影響(関東支部講演会)
- 硫黄酸化菌を利用したイチゴ高設栽培排液の窒素浄化
- 5 硫黄造粒物を用いた高硝酸性排水の脱窒処理(関東支部講演会)
- 続, 地球の限界, (社)未踏科学技術協会 「エコマテリアル研究会」 監修/水谷 広 編集, A5判, 251pp., 2,800円 (本体価格) 日科技連出版社 (東京), 2001年
- 地球の限界, (社)未踏科学技術協会, 「エコマテリアル研究会」監修/水谷 広 編集, A5判, 397pp., 本体3,600円, 日科技連出版社(東京), 1999年
- 23-9 含硫物質による高硝酸性排水の脱窒(23.地域環境)
- 福島原発大事故 土壌と農作物の放射性核種汚染, 浅見輝男著, A5版, 127pp, 定価2,000円(本体価格), アグネ技術センター, 2011年8月発行
- [改訂増補]データで示す-日本土壌の有害金属汚染, 浅見輝男著, B5判615pp, 定価12,000円(本体価格), アグネ技術センター, 2010年2月発行
- 自然保護の新しい考え方-生物多様性を知る・守る-, 浅見輝男編著, A5判, 144pp., 定価2,800円(本体), 古今書院(東京), 2006年6月6日
- 農業集落排水処理汚泥の農用地利用の現状と課題 (小特集 土地改良事業と土づくり)
- 農耕地における物質循環と環境問題
- データで示す-日本土壌の有害金属汚染 浅見輝男 著 B5判, 405pp., 7,000円 (本体価格) アグネ技術センター (東京), 2001年
- 農地からの硝酸性窒素排出問題
- Cycle of Soil: Carbon, Nitrogen, Phosphorus, Sulfur, Micronutrients Second Edition, F.J. Stevenson and M.A. Cole 著, 16×24cm, 427pp, $61.50, John Wilcy & sons, Inc.(New York), 1999年
- 霞ヶ浦流域における農業系窒素負荷対策
- V-4 水田の多面的な機能の活用と土地利用計画(V.水田の優れた機能と新たな活用戦略)