エクイティ・ファイナンスと株式所有構造(その2) : わが国における株式所有構造の特質と現況
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概要
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現代株式会社企業の株式所有構造上の特質として,個人株主の減少と法人株主ないし機関株主の増大,すなわち株式所有の非個人化の進展を挙げることができる。こうした所有構造のもとでは,一方で個人レベルないしは中小株主レベルで株式の分散化が進むとともに,他方で少数の大株主層(主として法人株主層)のもとに株式が集中するという傾向が見られる。しかも,わが国においては,こうした法人株主間で株式を相互に持ち合うという株式相互持合制が進み,全体として複雑な企業間の結合ネットワークが形成されてきているといってよい。しかしながら,第2次世界大戦以降の各発展段階で生成・確立されてきた,こうした株式所有構造も,今日の段階で一つの転機にさしかかっているといってよい。すなわち,1980年代後半において猛烈な勢いで展開されたエクイティ・ファイナンスによって,比較的短期間のうちに膨大な数の新株が発行され,それらの帰属状況(引受先)の如何によっては,既存の株式所有構造が大きく揺れ動くことも考えられるからである。本稿は,こうした視点の下にわが国のこれまでの株式所有構造の特質について素描し,その上で,上述のエクイティ・ファイナンスの盛況の所有上の帰結について若干の考察を行おうとするものである。
- 1992-12-25
著者
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