Birefringence test による心機能及び術中心筋保護法の評価
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概要
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偏光顕微鏡を用いて左室心筋の複屈折性を調べた。対象は術中心筋生検が施行された関心術症例23例(弁膜疾患21例,ASD2例)である。心筋保護法として全例St.Thomasa液によるcoldcardioplegiaとiceslushによる局所冷却法の併用を行なった。先ず,大動脈遮断前に採取した心筋標本について,ATPとCaを含んだ試薬に対する複屈折の増加量をB-test値と定め,術前心機能の評価を行なった。次いで大動脈遮断解除前に採取した心筋標本のB-test値を計測し大動脈遮断前のB-test値に対する%比を%B-test値と定め,術中心筋保護効果を検討した。B-test値はMSで4.5nm,ASDで4.1nm,MRで3.3nm,ARで3.7nmで,左室に負荷のかかるAR,MRは負荷のかからないMS,ASDに比し低値をとる傾向を示した。%B-test値では23例中,85%を越える例は19例で,85%以下は4例であった。%B-test値は大動脈遮断時間の延長に伴い低下する傾向にあり,%B-test値が85%以下の4例中3例は術後高度の不整脈あるいはLOSを生じたのに対し,%B-test値が85%を越える症例では全例術後経過は順調であった。以上の結果よりB-test値が4nm程度では左室心筋障害が少ないと考えられ,また術中心筋障害に関しては%B-test値が85%以上であれば軽度であるが,それ以下であれば高度である可能性があり術後LOS,不整脈などの発生に注意が必要である。
- 神戸大学の論文
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