悪性黒色腫のMRI診断に関する実験的並びに臨床的研究 : ハムスター黒色腫におけるMR像と病理像との対比と臨床例への応用
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概要
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ヒト悪性黒色腫に類似したハムスター黒色腫のMR像と病理像を対比検討し,それをもとに臨床例の検討を行なった。ハムスター黒色腫では,MRIにより,腫痕内の凝固壊死部と融解壊死部が,T_1強調像およびT_2強調像において,それぞれ異なる信号強度の組合せとして描出され,ほぼ正確に鑑別し得た。これに基づき腫瘍と筋肉の信号強度の比を測定したところ,ハムスターamelanotic melanomaに比べ,ヒト悪性黒色腫およびハムスターmelanotic melanomaではT_2強調像において信号強度比が低下する傾向がみられた。また,ヒト悪性黒色腫24病巣中,21病巣が筋肉に比べT_1強調像で軽度高信号,T_2強調像で高信号を示し,従来報告されているT_1強調像で高信号,T_2強調像で低信号を呈するのは3例のみであった。このようにヒト悪性黒色腫において必ず、しもメラニンによるT_1,T_2緩和時間短縮作用はみられず,従来報告されている出血因子の他に凝固,融解壊死による因子が加わり多彩な信号強度を示すためと考えられた。
- 神戸大学の論文