MNU誘発水頭症ラットにおける新生仔期脳グルコース代謝
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
DNA合成阻害剤であるN-methyl,N-nitrosourea(MNU)1Omg/kgを妊娠9日目のWistar系雌ラットに腹腔内投与し自然分娩させた。生後5日目に[<14>^C] 2-deoxyglucose法にて23の部位にて局所脳糖代謝を測定し,対照群と比較検討した。MNUにより誘発される水頭症は側脳室体部,後角,側角に優位な脳室拡大と,脳実質の菲薄化を認めた。仔ラットの体重は対照群(6匹)では, 10.0-13.0g (平均±標準偏差11.7±1.12g)であり,水頭症群(8匹)では8.9-11.6g (10.5±1.09g) であり,有意差はなかった。また血糖値もglucose oxidase法を用い測定したが対照群で110.7±12.3mg/dl,MNU投与群で109.5±10.3mg/dlと統計学的有意差は認めなかった。局所脳糖代謝は対照群と比べ測定部位すべてで低下を示し,特に大脳皮質でp<0.01,尾状核,脳梁,手綱核,下丘でp<0.05の有意差を認めた。著明に低下していた部位はすべて拡大した脳室周囲であり髄液循環障害によるところが大きいと恩わた。本研究と同じ実験系を用いた研究によると生後1週齢では脳血流量は正常対照群と比較して著明に低下を示し,このことは脳室周囲で特に著明な低下を示した局所脳糖代謝とよく相関していると思われた。しかし,その因果関係については今後,大いに検討すべき問題であると思われる。
- 神戸大学の論文