実験的脳血管攣縮に対する選択的抗トロンビン剤 (argatroban) の効果
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概要
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くも膜下出血(以下SAH)後急性期に髄腔内の凝固系は亢進する。我々は凝固系のkey enzymeであるトロンビンの多彩な生理作用に着目し,坑凝固作用を有するへパリンやアンチトロンピンIIIが脳血管筆縮発現を抑制する結果を得た。今回,家兎SAHモデルを作製し,脳血管攣縮に対する選択的坑トロンピン剤(Argatroban)の効果を検討した。家兎を全身麻酔し,脳血管撮影を施行した。経皮的大槽穿刺にて自家動脈血0.66ml/kgを注入してSAHモデルとし,以下の4群を検討した。1群(n=6)は,未治療群とした。2群(n= 6)は,Argatroban,1.5mg/kg, 3群(n=6)は,3mg/kgをSAH3時間後より3時間で4群(n= 6)は3mg/kgをSAH直後より3時間で静脈内投与した。SAH作製前,作製後6時間,1,3,5日目に脳血管撮影を施行し,脳底動脈径を上,中央,下部で測定してSAH作製前と比較した。5日後に脳を摘出し,橋・延髄移行部で血腫横径(mm)を測定した。脳底動脈径は1群と比較し,2群は3日後,3群は1,3日後4群は6時間1,3,5日後に有意な抑制を示した(P<O.01)。残存血腫径は各君事で有意差はなかった。Argatrobanの投与で出血病変等の副作用は発現しなかった。家兎SAHモデルにおいて,抗トロンピン剤(Argatroban)は脳血管攣縮の発現に抑制効果を示した。脳血管攣縮の初期病態にトロンピンが関与している可蛇性が示唆される。
- 神戸大学の論文
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