精神薄弱児の記憶におけるモダリティー間移行の問題
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概要
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本論文は,精神薄弱児の行動障害の性質を明らかにするための一側面として,モダリティー間移行能力に関する,従来の諸研究を論評することが目的である。モダリティー間移行とは,刺激受容(input)と反応(output)において異なる感覚モダリティーを用いて,情報を処理する過程であるが,知覚,認知,記憶,言語などいろいろな機能が関与していると考えられる。従来精神薄弱児を対象にした研究は,使用された課題の性質によって,モダリティー間反応,モダリティー間転移,モダリティー間再認などに分けられる。しかし,精神薄弱児におけるこの方面の研究は,極めて数が少なく,何らかの理論化を可能とするまでに至っていないが,読みの指導などにおけるシェーピングの方法的基礎を与えることが示唆されている。Japanese and foreign studies of cross-modal shifting in mentally retarded children are reviewed. Cross-modal shifting includes cross-modal matching (cross-modal recognition), cross-modal transfer and cross-modal response. Main results are as follows: Firstly, in some studies it is found that cross-modal shifting is superior to uni-modal shifting in particular situations, but in many other studies the opposite conclusion is derived. Secondary, a positive relationship exists between cross-modal shifting performance and reading achievement. Thirdly, cross-modal shifting tasks can be applied to the instruction of reading behavior. And the last point is that there remain some methodological problems.
- 大阪教育大学の論文
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