糖尿病患者における口腔常在微生物叢に関する研究
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概要
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糖尿病患者の口腔生態系を詳細に調査し,血糖コントロールの良否が糖尿病患者における歯列組織や齲蝕,歯列病,ならびにカンジダ症の病原微生物に及ぼす影響を明らかにすることを目的とした。糖尿病患者129名(平均年齢54.0歳,平均HbA_<1C>9.3%平均血糖値187.9mg/dl)を対象として,歯と歯周組織の状態,唾液量,唾液緩衝能,唾液中の抗菌物質,日和見感染病原微生物,齲蝕原性細菌ならびに歯周病原菌について,検討を行った。その結果,歯列組織の状態と歯周病原菌,lactobacilliとmutans streotococciに相関関係が認められた。HbA_<1C> ; 8%未満群と8%以上群の2群に分類して比較した結果では,8%以上群が8%未満群と比較して,健金歯数が少なく,平均PD,リゾチーム,Candida,歯肉溝内の総菌数が高く統計学的に有意差が認められた。一方,血糖コントロール前後で検索できた27名のコントロール前後の結果を比較したところ,コントロール前と比較してコントロール後で,唾液緩衝能が高く,唾液中のlactobacilliならびにmutans streotococciが減少し,コントロール前との間に統計学的に有意差が認められた。本結果から血糖コントロールを良好に改善・維持することにより,口腔感染症の原因菌を減少させることが示された。したがって,糖尿病合併症としての口腔感染症を歯科医ならびに内科医がより緊密に連携し,かかる合併症予防の向上を図る必要があると考える。
- 有限責任中間法人日本口腔衛生学会の論文
- 2001-01-30
著者
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