グラスアイオノマーセメントによるフッ化物局所応用法の基礎的研究
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概要
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う蝕予防のためにフッ化物はさまざまな形で応用されているが,う蝕予防の必要な歯面に対し,持続的にフッ素を供給することが重要と考えられる。そこで,本研究ではグラスアイオノマーセメント中に含まれるフッ化物が溶出して歯質に作用することから,グラスアイオノマーセメントが新たなフッ化物局所応用法の担体として利用しうるかどうか検討する目的で,特にフッ素徐放性に着目したセメント(Trial-GI)を試作し,エナメル質へのフッ素の取り込みについて基礎的研究を行った。そして,以下の結果を得た。1.Trial-GI硬化セメントからのフッ素溶出量は,練和後24時間以内に最も多く,以後時間とともに減少するが,28日間で2.99μg/mm^2±0.53SDであった。2.Trial-GIを塗布したエナメル質の表層フッ素濃度は,セメント未塗布と比べ,接触期間がわずか1日でも統計学的に有意に増加した。3.それ以降も,接触期間の延長とともにフッ素濃度は上昇し,時間の経過とともにエナメル質深層へとフッ素が取り込まれていくことがわかった。以上のことから,グラスアイオノマーセメントはフッ化物局所応用法の担体として使用できる可能性が示唆された。
- 有限責任中間法人日本口腔衛生学会の論文
- 2000-01-30
著者
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