根面初期齲蝕の再石灰化に及ぼす象牙質内液移動の効果に関するin vitro研究
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概要
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髄腔内圧に由来する象牙質内教移動が生理的な調節因子として根面の脱灰を抑制することを前報で報告した。しかし,再石灰化を含む総合的な齲蝕プロセスにおける役割は不明である。本研究では,象牙質内液移動が根面の再石灰化にどのような影響を与えるかを知る目的でin vitroでの検討を試みた。根面を脱灰したヒト歯根試料の髄腔内に髄腔内液基準のミネラル溶液(0.65 mM CaCl_2, 0.94mM KH_2P0_4,20mM HEPES,pH=7)を満たし,髄腔内圧を20,30または40mmHgに調節して8日間作用させた。共焦点レーザー顕微鏡による観察から,蛍光色素を添加した象牙質内液は数分以内に根面に到達することが確認された。一方,外部溶液の再石灰化への影響を確認するため,同様に脱灰を行った試料を唾液基準ミネラル溶液(1.5mM CaCl_2, 0.9mM KH_2PO_4,20mMHEPES,pH=7,0または2ppmF^-),あるいは髄腔内液基準ミネラル溶液に8日間浸漬した。齲蝕病巣は偏光顕微鏡により観察し,またミネラル濃度分布はマイクロラジオグラフィと画像定量法(CAV)により評価した。脱灰深度l_dとミネラル喪失量ΔZの値は髄腔内圧の上昇とともに減少した。40mmHg群は20mmHg群と比較してl_dは約55%低く,有意差が認められた(p<0.01)。さらに,40mmHg群とフツ素濃度2ppm唾液基準のミネラル溶液群の間でミネラル指標に統計学的に差がなく,再石灰化かほぼ同程度であることが確認された。本研究から,象牙質内液移動は生体防御機構として,根面齲蝕の再石灰化,特に病巣底部のミネラル回復の促進に重要な役割を果たす可能性が示唆された。
- 有限責任中間法人日本口腔衛生学会の論文
- 1999-01-30
著者
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