亜鉛欠乏ラットの舌微小血管状態および大腿骨の機械的特性
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概要
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亜鉛(Zn)は必須微量元素の1つであり,生体内の数多くの酵素の構成成分として生理機能に重要な働きを示しており,その欠乏時には味覚異常や成長抑制などの障害を引き起こすことが知られている。本研究はWistar系雄性ラットを用いて,Zn欠乏飼料で4週間飼育し,Zn欠乏における味蕾細胞のターンオーバータイム延長および大腿骨に及ぼす影響を調べる目的で,舌微小血管構築の走査電子顕微鏡観察,大腿骨骨密度および機械的特性について検討した。それらの結果としてZn欠乏群ラットは,対照群に比べて食餌摂取量が減少し,体重増加が抑制されたことや,実験開始3週間頃よりZn欠乏の特徴とされる皮膚症状や立毛などの肉眼所見が観察された。また,血液生化学値に関しては対照群に比べ血清中Zn濃度および血清ALP活性が有意に低値であった。舌中Zn濃度については対照群に比べ有意に低値であり,大腿骨における骨長,骨密度および最大ひずみ,最大曲げ応力は,対照群に比べともに有意に低値であった。さらに,舌微小血管構築像の電子顕微鏡観察により舌微小血管の漏洩像が観察された。これらのことから,Zn欠乏による味覚異常は,味蕾細胞の栄養供給路である舌微小血管の障害が関連しており,かつ大腿骨骨密度の成長障害および骨密度の低下が認められた。これらからZn欠乏が舌乳頭の局部組織障害とともに硬組織への影響が無視できないことが示唆された。
- 有限責任中間法人日本口腔衛生学会の論文
- 2000-07-30
著者
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