成長期ラットの鉄欠乏性貧血とフッ素投与の影響 : 硬組織中フッ素および鉄含有量を中心にして
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概要
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鉄欠乏性貧血は各種貧血のうちで最も頻度が高いといわれている。本実験は成長期ラットを用いて実験的に鉄欠乏性貧血を起こさせ,その際のフッ素投与のおよぼす影響について生体効率の面から検討したものである。すなわち4週齢ラットに鉄欠乏食を与え,さらにフッ素を1日当り2mg食餌中に添加し飼育4週後に鉄目復を行い1週間飼育して次の結果を得た。1.鉄欠乏群の体重増加は,実験全期間を通じて対照群に比べて低い傾向にあり,フッ素投与による影響はみられなかった。2.実験4週後の鉄欠乏群のHb値はフッ素投与により有意な上昇が認められたが,鉄目復によるフッ素投与の影響はみられなかった。また実験全期間を通してHt値へのフッ素投与の影響も認められなかった。3.実験5週後の鉄回復期では鉄欠乏群の大腿骨および下顎骨中フッ素音量はフッ素投与により対照群に比べ増加した。4.フッ素投与による硬組織中鉄音量の変動はいずれの群でも認められなかった。5.使組織のうち臼歯象牙質フッ素合量は代謝性の貧しさから大腿骨フッ素合量に比べて1/2以下であった。6.鉄欠乏群および鉄回復群の血漿中フッ素濃度および血漿鉄に対するフッ素投与の影響は認められなかった。
- 1995-07-30