表面筋電図の周波数分析を用いた垂直的顔面骨格パターン別の咬筋機能の解析 : 成人女子について
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概要
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上下顎骨の著しい不調和に基づく不正咬合には顎矯正外科治療を適用し, 咬合の改善とともに顔面形態の修正を行う.この治療法では形態のみならず, それに伴って咀嚼筋群にも機能的な変化が発現すると考えられる.このような観点から本研究では, 顔面骨格パターンに垂直的な不調和を有する顎矯正外科患者の術後の機能的変化について検討することとした.そこでまず最初に, 咬合や顎機能に問題がない成人女性27名を対象として, その顔面骨格パターンを垂直的にAverage Face Type, Short Face Type, Long Face Typeの3群に分け, それらの筋疲労について調べることにした.表面筋電図は左右咬筋浅層の上部1/4と下部1/4より求め, 50%の咬みしめによる筋疲労の過程と疲労からの回復過程の筋活動について周波数分析を行った.その結果, 以下の知見が得られた.1. 筋疲労期については, MPF値, 累積20・40・60・80%値は顔面骨格パターンに関係なく経時的に減少し, 周波数値の低域へのシフトがみられた.2. 筋疲労期における周波数値の低下率は, Long Face Type, Average Face Type, Short Face Typeの順に大きかった.3. 筋疲労回復期における周波数値の上昇は, Short Face Type, Average Face Typeの順でみられ, Long Face Typeでは4分以内の完全な筋疲労回復がみられなかった.以上の知見より, 垂直的顔面骨格パターンによって咬筋の機能的性状が異なることが示された.すなわち, Short Face Typeの咬筋は疲労しにくく, Long Face Typeのそれは疲労しやすいことが判明した.
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