痙直型脳性麻痺者における起座・起立行動に関する規定要因の分析 : 知的状態及び姿勢反射との関連
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
本研究においては, 痙直型の四肢麻痺を主徴候とする脳性麻痺児・者269名(痙直型178名, 痙直アテトイド型91名)を対象に, 垂直移動(起立・起座行動)の規定条件について, 知的および姿勢反射条件との関連で整理し, あわせてこれら要因の経年的変化について分析した。結果の概要は下記に示す通りである。1)起座行動は, 知的発達年齢5〜7か月以下の場合は全例不能となっていた。ただし知的発達年齢8〜9か月以上で側方パラシュート反応が陽性の場合は背臥位から腹臥位になり四つ這い肢位から座ることが可能, また後方パラシュートが陽性の場合は背臥位から片肘をついて起き上がることが可能となっていた。2)起立行動は, 知的発達年齢8〜9か月以下の場合は全例不能となっていた。しかしながら, 知的発達年齢10〜11か月以上で立位の平衡反応が陽性となると, 獲得されているパラシュート反応によって異なるが, 起立行動が可能となっていた。すなわち上記の条件に加えて側方パラシュート反応が陽性の場合は物につかまって立ち上がることが可能となっていた。ただし知的発達年齢が12〜14か月以上で, 後方パラシュート反応が陽性でなければ, 物につかまらず立ち上がることは不能となっていた 3)痙直型の脳性麻痺者においては, 生活年齢が2歳0か月を越えると姿勢反射の獲得状況が向上的に変化することが無かった。したがって, 姿勢反射に注目するなら, この時点を境に起立・起座行動に関しては精度の高い予測が可能となることが明らかにされた。
- 1991-01-10
著者
-
中嶋 和夫
静岡県立大学 短期大学部
-
岡田 節子
静岡県立大学短期大学部社会福祉学科
-
岡田 節子
岡山県立大学 保健福祉学部保健福祉学科
-
中嶋 和夫
東京都心身障害者センター
-
新田 収
東京都府中療育センター
-
中原 留美子
東京都心身障害者福祉センター
-
岡田 節子
東京都心身障害者福祉センター
関連論文
- 家族凝集性と老親扶養意識が介護の社会化意識に与える影響 : 東アジア圏域の日本と中国東北地域の比較
- 続柄別にみた家族介護者の介護負担感と精神的健康の関連性
- 父親の家事参加に関連する社会学的仮説の実証的検討
- 東アジア地域用老親扶養意識測定尺度の開発
- 要介護高齢者の主介護者におけるコーピング指標の開発に関する研究
- 韓国高齢者の社会活動とQOLの関係
- 障害幼児の発達特性と母親のニーズの関係
- 82. 痙直型麻痺に伴う脊柱側彎の経年的変化
- 偏見と尊厳 地域に根ざしたリハビリテーション入門
- 障害児の母親の育児コンボイと育児負担感の関係性
- 育児コンボイと育児負担感の関係
- 貧困化と女性(大会企画シンポジウム:現代社会と格差問題)
- 27. 慢性期片麻痺患者の屋外歩行能力と機能障害の要因に関する考察
- 191. 痙直型脳性麻痺児者における水泳能力
- 368. 痙直型脳性麻痺児における将来の四つ這い移動獲得の規定要因の検討
- 脳性麻痺成人の関節可動域の制限に関連する要因の検討
- 232. オーサリングツールKitを用いた自己学習支援ソフトの試作
- 61. 特別養護老人ホームにおける高齢者の集団活動に関する考察
- 187. 二分脊椎症児の移動能力と下肢筋力の関係
- 126. 痙直型脳性麻痺児の座位維持行動に関する規定要因の検討
- 痙直型脳性麻痺者における起座・起立行動に関する規定要因の分析 : 知的状態及び姿勢反射との関連
- 脳性麻痺者における姿勢反射と脊柱側彎の関係について
- 重度重複障害B(重度重複障害,日本特殊教育学会第26回大会研究発表)
- 精神薄弱児の知能の成長モデル
- 45. 高齢者夫婦世帯における「ポータブルトイレ」の導入に関連する要因の検討
- 簡易版東アジア圏域用老親扶養意識測定尺度の開発
- 障害幼児の母親の育児負担感と精神医学的障害の関係
- 父親の育児サポートと母親の精神的健康の関係
- 障害幼児の母親における情報源の利用と評価
- 障害児育児ストレス認知尺度の因子不変性
- 障害児の母親における児の発達に関連した情報ニーズの構造化
- 健康関連QOL満足度尺度の交差妥当性の検討
- 母親の育児負担感と精神的健康の関連性
- 育児バーンアウト尺度の交差妥当性
- 資料 保育士の職場環境ストレッサー認知尺度
- 障害児の母親におけるQOL指標の妥当性の検討
- 育児負担感指標に関する因子不変性の検討
- 母親の育児負担感に関する尺度化
- PGCモラール尺度の因子不変性の検討
- 高齢者における社会支援に関する役割逆転理論の検討
- 精神遅滞成人における適応行動の構造的特徴
- 366. 脳性麻痺成人における関節可動域制限の類型化
- 128. 痙直型脳性麻痺者における関節可動域制限の経年的変化
- 職場ストレス・コーピング尺度に関する因子構造モデルの検討
- コミットメントに関する研究の概観と今後の課題 : 介護の観点からの検討
- 福祉関連職におけるMaslach Burnout Inventoryの因子構造の比較
- 295. 活動能力に及ぼす心理的要因の検討
- 父親の育児参加の促進・阻害要因に関連する仮説の実証的検討
- ソーシャルワークの東アジア・モデル構築をめざして(国際学術交流シンポジウム:ソーシャルワークの東アジア・モデル構築をめざして:モデル構築のための視点と課題)
- 174. 脳性麻痺者における車椅子操作能力
- 未就学児の父親における育児参加と心理的ウェルビーイングの関係
- 台湾多文化家族の夫の日常生活に関連したストレス問題
- 台湾の多文化家族の夫が妻から受ける虐待
- 6か月児の育児環境の実態及びその関連要因に関する研究
- 知的障害児の母親を対象とする心理的マルトリートメント測定尺度の開発
- 父親の家事参加が自身の心理的Well-beingに与える影響
- 地域高齢者のICFに基づく機能的・構造的統合性の測定尺度の検討
- 日本とドイツの大学生の家族内資源と介護意識の社会化の関係
- 家族介護者のDaily Hasslesと主観的QOLの関係
- 韓国の多文化家族における外国人妻の日常生活に関連した苛々感と精神的健康の関係
- 在宅家族介護者の介護関連デイリー・ハッスルと介護放任傾向との関係