V型コラーゲンのプロセシングとコラーゲン線維形成に関する考察
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概要
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V型コラーゲンはN末及びC末端側に非コラーゲン配列をもつプロコラーゲンとして分泌される。I型コラーゲンと同様に、V型においてもプロコラーゲンは溶液中に存在し、プロセシングを受け線維に取り込まれると考えられている。I型やIII型コラーゲンは、C末端側のプロペプチドをPCP(BMP-1)で、N末端側をPNPと呼ばれるプロセシングプロテアーゼにより切断を受ける。リコンビナントのα1(V)_3分子を用いた研究では、BMP-1はN末端側で切断すること、C末端側ではfurin様の活性により切断を受けることが示された。主要なV型コラーゲン分子種であるα1(V)_2α2(V)においては、リコンビナント分子でもα1(V)鎖に対してBMP-1はN末端側、furin様活性はC末端側で、α2(V)鎖に対してはC末端側で切断が見られた。正常ヒト線維芽細胞により分泌/蓄積されたV型コラーゲンについてもBMP-1によると考えられるN末端側での切断とfurin様活性によるC末端側での切断がおきた。このように、I型コラーゲンとは異なるプロセシングのステップを経ることは興味深い問題である。V型コラーゲンは、コラーゲン線維の線維径の制御に関与していると考えられている。そのメカニズムについては、III型コラーゲンのpN分子がコラーゲン線維に取り込まれると細い径をとること等の根拠で、V型コラーゲンのN末端側の大きな非コラーゲン配列があることが線維径の制御に関与するのであろうと考察されている。BMP-1による切断後にも比較的大きな非コラーゲン配列が残ることは、このような考えと矛盾しない。しかし、ペプシン処理をして非コラーゲン配列を除いた分子でもI型コラーゲンとの混合再構成線維では細くなることが示されていること、V型コラーゲンのコラーゲンらせん部分のみで細い線維を形成することが示されており、非コラーゲン配列の寄与のみを過度に評価してならないことも明らかである。この演題では、V型コラーゲンのプロセシングがコラーゲン線維形成にどのように関わるかについて考察を行う。
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