腰椎に整形外科的疾患を持つ患者の立位バランス

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近年,腰痛症での体幹筋収縮反応速度の遅れなどが報告され,神経・筋の協調性を改善する運動療法が必要と考えられる。また腰椎疾患では腰痛だけでなく下肢症状も認められることから,体幹だけでなく下肢をも含んだ全体像を把握し,運動療法を行う必要があると考えられた。今回,腰椎疾患患者42例と健常者15例を対象とし,立位での安定性を静的立位と床を左右に動揺させる外乱を与えた時の立位バランス(開眼,閉眼)をそれぞれ比較した。また手術例における立位での神経筋協調運動が身体動揺性にどのように影響するかを検討した。静止立位の安定性は健常人と腰椎疾患患者では有意差を認めなかった。しかし外乱を与えた身体動揺性は腰椎疾患患者で開眼,閉眼ともに有意に大きく,特に閉眼で著明であった。術後に神経筋協調運動を施行した患者では外乱を与えた立位での身体動揺性が術前と比較し閉眼で有意に小さくなったが,術後に神経筋協調運動を施行しなかった患者では有意差は認めなかった。これらのことから,腰椎疾患患者は身体動揺性が大きく,不意な外力や状況変化への対応が困難となり腰椎部への負担が増大し,腰椎疾患の増悪につながる可能性が示唆された。術後運動として神経筋協調運動を取り入れることで.立位バランスを改善し症状の増悪や再発を防ぎうる可能性が示唆された。
社団法人日本理学療法士協会の論文
2002-12-20

腰椎に整形外科的疾患を持つ患者の立位バランス

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