正常気圧の低酸素圧気体環境の催奇形効果
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概要
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哨乳動物における低漬素圧気体環境の催奇形効果にかんしては,多くの実験報告がある2・3・7・S・11・13・22).これらの実1験においては,妊娠10日目のみのマウスについて行なったCURELY2)の場合を除き,すべて低気圧による低酸素圧気体環境に妊娠動物を置き,その催奇形性を観察している.そこで,われわれは正常気圧下の低酸素圧処理が,低気圧下のそれと,同様の催奇形効果があるかどうかを,マウスの奇形学的感受期の全般にわたって検討した.使用動物は6週令の工CR-JCLマウスである.交配により腟栓を認めた口を妊娠第1日として,実験に供した.妊娠第7日(A群),8日(B群),9日(C群),10口(D群),11日(E群),12日(F群),13日(G群),および14日(H群)に,5弊02および95%N2を含む人工気体中に,動物を6時間置き,妊娠19日目に胎児を摘出し,外形および骨格の異常を検査した.観察の結果は,次の通りである.1.妊娠第10日以後に処理した群では,処理日が後になればなるほど,胎児死亡率は上昇した(Tal)[el)。2.外部奇形は,それぞれ処理した時期に特異的なものが認められた(Tablc2).すなわち外脳症は,C群より得られた胎児の11.1%に生じ,二の奇形は,多くの例で,眼瞼開裂を伴っていた(27例の外脳症のうち21例)(Figl).口蓋裂はEおよびF群に有意に高い発現率を示した(それぞれ3.3および3.1%).心臓脱出はC群のみに認められた(Fig2),四肢の奇形はD群に高率に発生した.これには無肢症(Fig.3),無社症,乏祉症(Fig.4)および多祉症があり,発現する場所は,すべて左側肢に限られていた.尾異常(Fig.2,3)はC群(1.5%),D群(13.7%),E群(26.7%)およびF群(11.7%)に生じ,比較的広い感受期を示した.皮下における血腫がF群(1.6%),G群(47.5%)およびH群(9.5%)に認められ,これらは鼻部および祉の部分に発生した(Fig.5).3.骨格では,胸椎および腰椎が,他の部分よりも高い感愛性を示した(Tablc3).脊椎骨の異常の発現頻度は,B群(Fig.8)では第1~第3顆椎の部分に,C群(Fig.9)では第1~第4胸椎に,D群(Fig.11)では腰椎に,EおよびF群では尾椎において,特に高かった.すなわち,処理した妊娠日が遅くなればなるほど,異常の発現部位が頭側から尾側へと移動した(Chart2).4.正常大気圧下の低放素圧処理においても,奇形学的には,低気圧下の低酸素圧処理とほぼ同様な結果が得られた6
- 社団法人日本獣医学会の論文
- 1967-02-25
著者
-
甲和 良夫
田辺製薬株式会社大阪研究所
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中山 良夫
田辺製薬株式会社中央検査所臨床薬理部
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野口 祐三
田辺製薬株式会社,中央検査所臨床薬理部
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甲和 良夫
田辺製薬株式会社中央検査所臨床薬理部
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甲和 良夫
田辺製薬株式会社中央研究所
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野口 祐三
田辺製薬株式会社中央検査所臨床薬理部
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甲和 良夫
田辺製薬株式会社 生物研究所大阪研究室
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