各種血清添加培地におけるレプトスピラ集落解離について
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
レプトスピラ(以下「レ」と略す)の培養に関しては,すでにVerv00rt(1923),Flctchcr(1928).Korthof(1932)らによって,適当な培地が考案され,ひろく用いられている。しかしながら,これらのどの培地も,動物の体液,とくに血清の添加が必須である。種々の動物血清のなかで,正常ウサギ血清が最もすぐれていることは,周知の事実である。Cox(1956)らも,固型培地上に「レ」集落を形成させたさい,ウサギ血清をCox培地中に10%添加している。著者はさきに,ゴム栓を施した角びん内閉鎖系で,「レ」の集落を形成させる方法を検討した。この方法を応用して,今回は培地に添加する各種血清が,「レ」の集落形成におよぼす作用を検討した。Korthof培地内で3日間培養したLePtosPirabiJlexaUrawa3株を,正常ウサギ血清,ウマ血清,ウシ血清,ヒツジ血清のいずれかを添加したCox培地に,33°Cで培養した。その結果ウサギとウマの血清では,培養後3日目で集落が発現し,4日目から計数可能となった。一方,ウシとヒツジ血清では,おくれて5日目に集落が発現した。集落形成効率は,「レ」の培養日,血清の動物個体別,培養条件などにより,かなり変動がある模様である。ここで考慮されねばならないのは,培地に添加する血清の種別により,集落解離の様相を異にすることである。すなわち,ウサギ血清培地では,小型(C)および大型(D)の両集落が解離したにもかかわらず,ウマ血清ではC集落のみが,ヒツジ血清ではD集落のみが解離し,ウシ血清では集落形成が不明瞭であった。さらにウサギとウマの血清を種々の比に混合し,また,ヒツジとウマの血清についても,同様の操作をおこない,培地に添加した。その結果,集落形成の状況は,血清の混合比に連関して変化した。ウサギ血清添加培地では,CとDの両集落が形成されたが,ウマ血清の濃度が高まるにつれて,D集落の形成効率を減じ,ウマ血清1:2希釈では,D集落の形成はみられなくなった。これに対し,C集落の形成効率は,ほとんど低下することなく,ウマ血清中では,C集落のみが発現した。ウマとヒツジの血清についても,同様に検討した。その結果,ヒツジ血清ではD集落のみが発現した。また,ウマ血清濃度かたかまるにつれて,D集落の形成効率が減じ,ウマ血清希釈1:4では,D集落がみられなくなり,C集落のみが発現するようになった。これらの試験の経過中に分離されたCおよびD集落由来株につき,血清学的諸性状について検討したところ,これらはいずれも同一性状をしめした。また,菌体長を測定したところ,C型株では20.8±7.2μ,D型
- 社団法人日本獣医学会の論文
- 1966-04-25
著者
関連論文
- 154 ブタ流行性肺炎野外材料の細菌学的検索ならびに野外予防試験成績
- 155 SEP の一病原体の薬剤感受性について
- 46 豚の関節炎からの連球菌について(微生物学分科会)(第71回日本獣医学会記事)
- 26 口蹄液罹患牛の第二次感染菌について (微生物学分科会)(第74回日本獣医学会)
- 114 養豚場における豚流行性肺炎 (病理学分科会)(第70回日本獣医学会)
- 37 試験管内凝集反応による野外のブタ血清中のMycoplasma hyppneumoniaeに対する凝集抗対価の分布について (微生物学分科会)(第70回日本獣医学会)
- 2 ウシ乳房炎のfuraltadoneによる集団野外治療試験成績 (第61回日本獣医学会記事)
- 角びん内培養法によるレプトスピラ集落形成諸条件の検討
- ブドウ球菌培養濾液によるレプトスピラ集落数増強作用
- 各種血清添加培地におけるレプトスピラ集落解離について
- 26 日齢別実験マウスのL.isteohaemorrhagiaeに対する感受性試験成績 (第59回日本獣医学会記事)
- Leptospira icterohaemorrhagiae に対する実験マウスの致死的感受性について
- 37 角びん内培養法によるレプトスピラ集落形成諸条件の検討
- 27 牛乳房炎に関する野外調査成績
- 193 乳房炎牛由来ブドウ球菌に関する研究 : ブドウ球菌型別への二、三の試み
- 平板培地最下層(Bottom Layer)内培養法によるブドウ球菌集落の観察