羊の胃運動に関する研究 : 特に第3胃運動について
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概要
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第1胃に慢性痩管を作成した13頭の成羊を用い,前胃および第4胃の運動,ならびにこれら各胃の運動相互の関連を,水マノメーター,タンブール法によって検索した.1)休息期の羊の第1~2胃運動には,先人が報告したような2つの基本的な型式がある.しかしながら第1胃各部の運動の順序には変異が見られた.第1胃の背嚢,腹部嚢の交代性収縮が規則正しく起こらなかった時でも,第2胃収縮後の第1胃前部嚢の収縮と,これに続いて起こる背部嚢の収縮とは,常に見られた.2)第2~3胃口,第3胃の頚部,頭部,体部および尾部は,各第1~2胃収縮cyclcの期間ごとに,おのおのきわめて特徴的な運動を規則正しく行なっている.3)第2~3胃口は,第1~2胃収縮cyclcの期間中に2度開くが,その他の期間には軽く閉じ,独・特のリズムで運動している.4)第2~3胃口の1回目の開口は,第1胃の1回目の収縮直前から起こり,第2胃の2回目の収縮後強く閉じる.続いて第2~3胃口は,ふたたび急に,かつ完全に開き,その後徐々に収縮し始め,次の第2胃収縮前にはじめの状態に戻る.5)第3胃は,第1~2胃収縮cyclcごとにToniccontractionをずるのが特徴である.第3胃の体部では,平坦なTonusの変化が記録された.他方,第3胃の頚部と頭部では,Tonus波の上に沢山の小さい収縮波が記録された.6)第3胃頚部の弛緩は,第2胃の1回目の収縮時に起こる.第3胃の他の部分の弛緩は,第2胃の2回目の収縮の後半の時期に起こる.7)第3胃の尾部では,幾つかの第1~2胃収縮cyclcにまたがるToniccontractionが,しばしばみられた.8)第4胃では,噴門部はわずかじか運動しないが,幽門部はきわめて活発に運動する.この運動のうち,多くのものは,近隣の器官の運動から独立したものであった.9)休息期,採食期,反倒期いずれの時期においても,前胃の基本的な収縮様式には,ほとんど差が言忍められたかった,10)第1胃の前部および第2胃から,第4胃に内容物が移動する時期と,その様式について論じた.
- 社団法人日本獣医学会の論文
- 1965-06-25
著者
-
中里 幸和
北大
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中里 幸和
北海道大学名誉教授
-
大賀 晧
北海道大学獣医学部薬理学教室
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太田 義夫
北海道大学獣医学部薬理学教室
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大賀 皓
北海道大学獣医学部家畜薬理学教室
-
大賀 晧
北海道大学獣医学部獣医薬理学教室
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