豚丹毒菌の分類に関する研究 : I.豚由来のErysipelothrix rhusiopathiaeの血清学的性状について
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概要
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豚丹毒の感染と免疫については,いまだ不明確な点が多く残されているが,その主な理由は,原因菌であるErysipelothrixrhusiopathiae(以下E.r.と略称する)の血清学的分類と病型との関係が明らかにされておらなかったことによると云える.近年,特に独乙を中心とした欧州の2・3の研究者によってこの菌の血清学的型別がおこなわれたが,それらも上述の基礎的な種々の間題を解決するためというよりは,実際応用の面すなわち死菌免疫元として有効な菌株の撰択に利用されるにとどままっていると云ってよい.著者らは,かねてから,この問題に深い関心をもち,広範囲な調査と実験を進めてきた.すなわち,由来履歴の確かな菌株を数多く集め凝集反応,沈降反応による血清学的分類を行い,その結果とそれらが由来した動物の病性との関係を整理考察してみた.本報告においては,健康)啄及び種々の病型の病豚に由来した菌株について行、った試験の結果について述べたが,以下に概略を記載する.1,129例の見掛け上健康な豚の扁桃腺を調べで,50例から各1株ずつの生物学的性状からE.r.と同定される菌株を得た(38.6ヲOが,これらのうちの任意の40株を血清学的に沈降反応で分類し,暫定的にGroupI(3株),GroupH(22株),GroupHI(3株),GroupIV(7株)及びGroupV(5株...反応上種々の態度のものを含み,今後更に多数の保1株について調査すれば新なGroupとして独立すべきものを含むと予想される)とした.2. 一方,病豚由来の菌株については,急性敗血症型例からの22株を同様の方法で分類したところ,そのすべてが.上記GroupIに)高三)べきも.のであることが知られ,また賭麻疹型例からの19株は,3株のGroupIと16株のGroupIIに分類された.ここにおいて,原則として急性敗血症型は血清学的にGroupIに属す菌株により,巷麻疹型はGroupHの菌によー,-〔発症することが知られた.しかして,この事実は諸外円から分与された菌株についてもほぼ同様であった.3.また,豚コレラワクチン注射後に発病[-7だ例,または豚コレラ病毒接種後に敗血症症状で斃死,した如き例から分離された菌株は,それらの動物が-見急性敗血症症状を呈しておりながらGroupIIである場合の多いことも知られた.4. 独乙のI)ED托らが行,うた分類との関係を知るため,彼よりGruppc-A,Gruppe-B及びN-Formenに属ずるもの各2,2,1株の送附を受け,それらから著者らの用いたBoivinのそれを少しく改変した方法で抗元を製し試験を行ったが,彼らがGruppe-Aとしで送ってきた2株は著者らのGroupI,Gruppe-Bと・
- 社団法人日本獣医学会の論文
- 1959-04-30
著者
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鈴木 一雄
動検神戸
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村瀬 信雄
農林省家畜衛生試験場
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荒海 弥
動検疫
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鈴木 一雄
農林省家畜衛生試験場
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中原 達夫
農林省家畜衛生試験場
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荒海 弥
農林省家畜衛生試験場
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橋本 和典
農林省家畜衛生試験場
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