無麻酔・無拘束ラットの聴性脳幹反応におけるアスピリン難聴の特徴

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アスピリンが誘発する聴力障害に関して, 周波数選択性があるかどうかを20週齢の雄性JcL: Wistarラットを用いて検討した. 尾側下縁の頭頂骨に関電極を, 前頭骨に不関電極をそれぞれ慢性的に埋め込み, アスピリンの225mg/kgを静脈内に単回投与したときの聴性脳幹反応(ABR)を無麻酔, 無拘束下で, 音圧を変化させながら, 経時的に記録した. その結果, 投与1及び24時間後に2kHzのトーンピップで誘発されたABRのP1(波)の振幅は, ほぼ全音域にわたって統計学的に有意に減少した. 同じ変化は4kHzの音刺激でも, 投与1時間後にのみ観察されたが, 8kHzでは変化は認められなかった. P1の振幅から直接回帰させて得られたオージオグラムにおいても, 2kHzの音刺激では投与1及び24時間後に, 4kHzでは投与1時間後にそれぞれ有意な可聴域値の上昇がみられたが, 8kHzでは変化はなかった. また, 2kHzでは, P1の潜時が延長し, P2及びP4の振幅も減少した. 記録されたP1とP2, P2とP4の潜時間差においても2kHzの音刺激で有意な延長が観察された. 以上の結果から, 不実験条件下において, アスピリンはラットの可聴音域のうち, 低周波数域に強く影響し, ラットの聴力障害には周波数選択性があることが判明した. このことは, 異なった蝸牛回転での外有毛細胞が異なった反応を呈している可能性が高いことを示唆しており, ラットでの実験系はアスピリンがもたらす耳毒性の機構や部位をさらに追求するために有用であるかもしれない.
1997-01-25

無麻酔・無拘束ラットの聴性脳幹反応におけるアスピリン難聴の特徴

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