犬赤血球凍結保存におけるglycerolおよびhydroxyethyl starchの比較(外科学)

概要

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非透過性凍結保護物質であるhydroxyethyl starch(HES)の利点は,透過性凍結保護物質のglycerolに比較して凍結・解凍作業が容易なことであるが,犬赤血球に関しての研究はまだ進んでいない.本研究では,犬赤血球におけるHESおよびglycerolの凍結保護効果を比較した.全血から分離した赤血球を20%(w/v)glycerolおよび2.5,7.5,12.5,17.5,22.5%(w/v)HESを用いて液体窒素に2ヵ月間保存して解凍後,その溶血率,生理食塩水安定性および浸透圧脆弱性を調べ,さらに走査電子顕微鏡による解凍後の赤血球形態変化を観察した.得られた結果から,HES濃度が12.5%(w/v)で,解凍後溶血率25.6±4.7%,生理食塩水安定性87.8±6.9 %および浸透圧脆弱性指数0.445±0.024%NaClを示し,犬赤血球凍結保存のための最適濃度と判断された.この結果は,20%(w/v)glycerolの解凍後の溶血率24.7±5.2%,生理食塩水安定性99.2±0.1%および浸透圧脆弱性指数0.485±0.023%NaClと類似していた.12.5%(w/v)HESでは他のHES濃度と比べて解凍後,変形した赤血球の数は少なかった.以上の結果から犬赤血球の凍結保護剤としてHESはglycerolの代替物質として使用できる可能性が示唆された.
2004-12-25