哺乳類におけるスフィンゴシンキナーゼ1の遺伝的・後成的類似性の同定(生化学)
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概要
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正常組織においては,CpGアイランドのメチル化は不活性化されたX染色体やインプリント遺伝子に限って起こると言われてきた.スフィンゴシンキナーゼ1(SPHK1)遺伝子は複雑なゲノム構造をしており,多種の選択的スプライシング産物が存在すること,組織特異的メチル化領域(T-DMR)がCpGアイランドの一部にあることがラットで示されている.本稿では,まずヒト,マウス,ラットSPHK1/Sphk1のゲノム構造を比較し,5つの翻訳エクソンや5'上流領域のCpGアイランドが共通して存在することが明らかなった.更に,新たな2種の新規サブタイプも固定し,合計8つもの転写産物が,非翻訳エクソンであるエクソン1の選択的スプライシングにより生成されることが明らかになった.また,T-DMRの5'末端に位置する38bpの領域が種間で高い相同性を示していた.この限局した領域はサブタイプの一つであるSphklaを発現する脳において特異的に低メチル化状態にある.本研究により,哺乳類種間におけるSPHK1/Sphk1遺伝子CpGアイランドの遺伝的・後成的類似性が示され,とりわけT-DMRが組織特異的CpGアイランドメチル化の標的中心であることが示唆された.
- 2004-11-25
著者
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塩田 邦郎
東京大学大学院農学生命科学科・細胞生化学
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今村 拓也
東京大学大学院農学生命科学研究科応用動物科学専攻細胞生化学教室
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千田(宮内) 奈々美
東京大学大学院農学生命科学研究科応用動物科学専攻細胞生化学教室
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田中 智
東京大学大学院農学生命科学研究科応用動物科学専攻細胞生化学教室
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塩田 邦郎
東京大学農学部獣医生化学教室
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塩田 邦郎
東大 大学院農学生命科学研究科
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塩田 邦郎
東京大学大学院農学生命科学研究科
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