米国の地盤沈下と対策の概要

概要

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著者が米国の地盤沈下地帯を歴訪した時の記録で, それらの地域の地盤沈下の現況, その原因および対策を紹介したものである。ほとんどの地域の地盤沈下は地下水の継続的かつ急増する揚水が主な原因であることを示し, 対策としては隣接地域の表流水を導入して水需要に対応し, 地下水の使用を低減させて, 沈下の進行を阻止しようとするものが大半であって, たとえばサンタクララ谷地域, サンウォーキン谷地域などではこの方法が成功した例であり, 他の地域においても同様の計画が進められている。また, ロングビーチ市では, 石油の採取が沈下の主要因であるため, 精密な地質解析データーをもとに巨費を投入した大規模な注入井により水の注入を行ない, 油層の水圧を回復させ沈下の防止に成功したばかりでなく, かえって地盤の隆起を観測した地域もある。しかし, ここでも都市, 産業用水などによる沈下については, 他の地域と同様の対策がなされている。また, 米国では1900年ごろから各地の標高, 地下水位, 揚水量などの記録が蓄積されているが, わが国ではこの面での整備が遅れていると述べている。
社団法人地盤工学会の論文
1978-06-15